生まれつき鈍感な私はいつも御命令を聞き間違えてヘマをやることが多いのですが、そんな時女御主人様は散々鞭を打ったすえ、小さくなって足下で頭を土間にこすり付けてお詫びする私の頭をおみ足でお蹴り上げになります。 仰向けに倒された私の鼻の孔へは、左右1本ずつのタバコが突き刺されてライターで火を点けられます。そいて同時に洗濯機から出されたばかりの水浸しの下着類を口一杯に押し込まれるのです。 呼吸の出来ない苦しさと煙たさに眼から涙をボロボロ流しながらおタバコを鼻の孔から落とさないようにしてそれが灰になるまで完全に吸い尽くさねばなりません。もし途中で落としたり吸う力が弱くなって火が消えようものなら又鞭の雨を受けながら何回でもどんなにタバコが短くなっていようともライターの火が鼻の先で燃やされます。 その苦しさをじっと我慢していると鼻毛が音をたてて焼けているのがわかります。ヒリヒリする鼻、一杯灰の詰まった鼻の孔を上向けて女御主人様のお顔を見上げるのですが、椅子にかけられた女御主人様は鞭をおにぎりになったまま御満足そうに微笑みになりながら私を見下ろしているお姿が朦朧として拝されるだけです。 「どう!少しは骨身に答えたかしら?」 というお言葉に私は一生懸命お詫び申し上げようとするのですが、口がふさがれているため思ったように声が出ません。 「あら、なぜ返事をしないの?」 と仰って鞭が続けさまに、顔といわず胸といわず、腹、足と所かまわず何回も何回も打たれるのです。 その痛さ、辛さ、情けなさ。でも私はただ身悶え、のたうち回るしかありません。私の体は血の流れる鞭跡の生傷が絶えたことはありません。 |