その16
  自分達の足の下で悶え苦しむ私を見て、女子生徒様達は笑いながら通り過ぎて行く。
全身が痛みで覆われて逃げる事も出きない状況に、私は改めて牡奴隷という立場を認識するのだった。
一時間というこの時間はまさに地獄の苦しみだった。
 奈央様が来て下駄箱の床を上げてくれた時もぐったりとして起き上がる事さえできない状態だった。
「あら、そこがいいのならずっとそこに居させてあげようか?」
「お・・お許し下さい〜」
「さっさと出てお礼を言いなさいよ、牡奴隷!」
体に刺さった突起を外し、ようやく立ち上がりその場に崩れ落ちた私は奈央様の足下まで這って移動して、土下座でお礼を言う。
「奈央様・・このような経験をさせて戴きありがとうございました・・」
「どう、辛かった?」
「は・・・はい・・」
「そう、じゃあ明日から渡り廊下と下駄箱下はお前の日課にしてあげるわ。嬉しいでしょう?」
「うわぁ〜・・・お許しを・・・奈央様・・お許し下さいませ〜うううぅ〜・・・」
1週間毎日このような仕打ちを受けたらと思ったら、私は何の体裁も考えずその場で大泣きしながら奈央様に許しを願った。
その姿を見て奈央様は
「うふふ。ああ気持ちいい〜。くく、もっともっと虐めてあげるから覚悟しときなさい。あはは・・・」
 泣き崩れる私の頭を踏みつけながら笑い飛ばす。
私はさらに悔し涙を流したのだった。
 奈央様に蹴り飛ばされながら職員室に戻るとそこには安西紗代の娘、桃子が待っていた。私を自宅まで連れて行く役目を母から言われたのだろう。
「あ、安西さん。待たせちゃったかしら。コイツがぐずだから、ごめんね」
「あ、先生、大丈夫です。どうせ悪いのはこの最低牡奴隷なんだから、タップリと罰を与えてやります」
「そうそう、牡奴隷は虐められためだけに生かしてもらってるんだから、その事をしっかりコイツに教えてあげてね」
「はい、先生。分かりました」
「ほら、このクズ。安西さんに謝るのよ!」
「・・も、申し訳ございませんでした・・・御嬢様・・」
「ふん、桃子様とお言い!ブタ!」
「申し訳ございませんでした、桃子様」
「じゃあ先生、連れて帰ります。さようなら」
「あ、気をつけて帰ってね。安西さん、お母さんによろしく」
私は学校の廊下を桃子様の後に四つん這いで歩いて続いた。
下駄箱で私を仰向けに寝かせると黒のローファーを顔の上に置き、その上で履き代えて全体重を顔にかけた。
「ううぐぅ・・」
「ふふ、汚いお前の顔に乗ってやったんだからありがたく思いなさい!」
「ううう〜・・・」
さあ、家までお前を馬にして乗ってやるよ。お母さんからお前にプレゼントも届いているしね。くくく・・」
私の体の上で袋を逆さしにして落とした物は、膝パッド・グローブ・鞍といった人間馬用に必要な道具だったが、その全ての物が内側に鋭く尖った突起を有した懲罰用の物だった。
顔の上から降りた桃子様は私の横腹を蹴り、
「早く用意しなさいよ、マヌケ!」
「はい・・・桃子様」
私はまず自分で鞍を体に巻きつけ、膝パットを付けて最後にグローブを両手に取り付けた。そして四つん這いになるとそれだけで膝と両手に突起が突き刺さり声をあげた。
「ああぅっ!」
「ふふ、お母さんからもらった道具はどう?とってもいいでしょう、家に着いたらしっかりお礼を言う事ね、牡奴隷さん!あはは・・」
「ううう・・・」
「ほら、お前。何も言えないの。私に乗ってもらうのに黙ってるつもり、このクズ奴隷!」
「ううう、申し訳ございません・・桃子様、どうか、このマヌケなクズ奴隷の背にどうかお乗りくださいませ・・・」
「頼むときはちゃんと土下座しろ、このバカ!」
頭を蹴り飛ばされて倒れこみ、すかざす彼女の足下で土下座して、もう一度お願いする。
「桃子様、どうか・・どうかこの最低のバカ奴隷の背にお乗り下さいませ・・お願いでございます・・・」
「ふふ、そんなに乗って欲しい?」
「はい、どうか・・どうかお願い致します」
「よし、四つん這いになれ、バカ奴隷!」
「はい、桃子様。ありがとうございます」
そして四つん這いになった私の背に思い切り腰を下ろす。
「あう〜・・・」
鞍の内側の突起が背に刺さり、さらに手のひらと膝に突起が食い込む。恐ろしい事にその内側には牡奴隷を苦しめるための液体”苦痛増強剤”が塗られていたのだ。
「ああ〜・・ひぃ〜痛いぃぃぃ〜」
「ふふ、早くは走りなさいよ、このウスノロ!」
あまりの痛みに動けずにいると、桃子様は腰を上げて背中に体重を落とす事を何度もして私を苦しめた。
「あうぅ〜・・・」
「ほら、動けバカ奴隷!ほらほら」
「あああ、歩きます〜歩きますから〜・・・」
私は痛みを堪えてようやく動き出す。1歩1歩が激痛と戦いながら、ようやく動いたのだった。脳裏に母親紗代様の意地悪い笑顔が浮かんだ。
 校門を出て必死に歩く私の背に乗る桃子様は楽しげに携帯で誰かと話していた。
「それでさ、今あの牡奴隷を馬にして乗ってやてるのよ。ホントに使えない奴隷よコイツ、だからたっぷり虐めてやるわ。、これから家まで乗ってやるの。うん、もし潰れたらその場で死ぬほど辛い罰を与えてやるわ。あはは・・・ほらもっとしっかり歩きなさいよウスノロ奴隷!」
 安西邸まではおよそ10分の道程だったが、苦痛で何度も立ち止まり倍以上の時間がかかったのだった。
途中、彼女ののクラスメートが追いつき、私を見て。
 「ねえ桃ちゃん、なんでこの牡奴隷に乗ってるの?」
「ママが先生に頼んでコイツを家に呼び出したの。きっとヒドイ目に合わせる為だと思うけど・・」
「あ、そうだった、桃ちゃんのお母さんコイツと揉めてたんだっけ・・へえ〜」
「ねえコイツの手でも踏みつけてやってくれない。さっきから休んでばかりでムカツイてるの」
「うん、いいよ。この牡奴隷め!ほら!」
その女子生徒様はローファーの踵で私のグローブの手を思い切り踏みつけた。
「ぎゃあぁぁぁ〜]
「ほら、こっちもサービスしてあげるわ。ぐっ!」
「ああひぃ〜・・・お許しください・・・お許しくださいませ〜」
「あはは、ああ、面白い、ほら痛いか牡奴隷、うん?」
「あああ・・・痛いです〜・・お許しを〜・・」
「ふふ、牡奴隷のクセに、ありがとうございますだろう。まぬけ!」
「ううう・・御嬢様・・・お踏みつけ戴き・・・ありがとうございます・・・うう」
「あはは・・」
ふらふらになりながら、何とか家までたどり着くことができた。
 到着すると桃子様は直ぐに私に人間馬用の懲罰具を外させ、私を後ろ手に拘束した。
「ほら、ウスノロ、乗ってもらった御礼も言えないの?」
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます・・桃子様、わたくしめのようなウスノロ奴隷馬にお乗り戴き・・本当にありがとうございます。ありがとうございます」
卑屈なまでにお礼を言う自分に私は驚いた。
 彼女を絶対的な支配者と認識したからだろう。
「そのまま這って裏庭に行くのよ、牡奴隷!そこで牡奴隷の挨拶をするのよ!」
「はい・・桃子様。ありがとうございます」
 私は血が滲む膝の痛みを堪えながら家の横のココンクリート道を不自由な姿勢で膝歩きした。
 裏に回るとそこは芝生の庭でテラスになっている部屋の正面だった。
 そこに数人の女性達がにぎやかに談笑していた。横からその姿を覗くと女性達は皆、安西紗代様と同調して教師時代の私に憎しみを抱いていた母親達だった。
 私はその姿を見て思わず震えたのだった。
・・・ああ、どんなひどい目にあわされるんだろうか・・・
 牡奴隷なら当然の事だがひどく自分が惨めに思えたのだった。
意を決して、庭の中央まで進み牡奴隷の挨拶をする。
「安西紗代様のお呼び出しを戴き参上いたしました。牡奴隷FZ511号です。どうかこの卑しい牡奴隷めをご存分に御使用下さいませ」
地面に顔を付けて挨拶をした。
「あら、ホントにあいつなの?」
「声がそうじゃない」
「見てあの格好、牡奴隷そのものじゃない」
 テラスからいろいろな声が飛んだ。
すると奥から安西紗代様が出てきて私の正面に立った。
  「あら、ずいぶん遅かったじゃないの、私からのプレゼントはどうだった?くくく・・」
「はい・・もったいのうございます。ありがたく付けさせて戴きました」
「うふふ、ずいぶん血が滲んでるじゃないの、痛かったんじゃないの?」
「はい・・い、いえ。本当にありがとうございます・・紗代様」
 私は悔しくて歯が震えていた。
「あはは、コイツどんな顔して言ってるのかしら、見てみたいわ」
「ホント、顔見せなさいよ、牡奴隷!」
「皆がお前のその汚い顔を見たいっていってるわ。顔を上げて見てもらいなさいな」
「ううう・・はい・・・皆様・・・どうぞこの、醜い能無し牡奴隷の汚い顔をご覧下さいませ・・・」
「ああ、ホントだ、あいつじゃない。あんな偉そうにしてたのに」
「あはは・・いい格好だわ。ざまーみろっていう感じじゃない」
「最低ね、たっぷりと罰を与えてやりましょうよ」
「511号、今から私達でたっぷりとお前を罰してあげる。理由は分かってるでしょうね?」
「・・・はい・・・」
「バシ!」
「ああああ〜・・」
紗代様が私に振り下ろしたのは、拷問用の芯にピアノ線を入れ表面を金属加工した超懲罰用の危険鞭だった。
「ふふ、1発で肌が裂けて肉が見えてるわ。やっぱりいいわね、この鞭」
「さっさと罰せられる理由を自分で言ってみたら・・それても鞭が欲しい?」
「ああ・・わたくしめが、わたくしめが悪うございました。安西紗代様を筆頭に高貴な皆様方のお気にさわるような事をして御不快を感じささせてしまいました事、お詫び申し上げます〜・・申し訳ございませんでした・・申し訳ございませんでした!」
「この虫けら、そんな謝り方で私達が満足するとでも思ってるの?」
「バシ!バシ!」
「あぎゃぁぁぁぁぁぁ〜お許し下さいませ。お許し下さいませ〜」
順番に私を鞭打つ奥様方の顔には嗜虐の喜びがありありと浮かんでいた。

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