その4 ようやく息を整えられた私はあわてて看護婦の前に跪いて頭を下げた。 「牡奴隷WH207号です。どうぞよろしくお願いします」 「なぁに?それが挨拶?バカじゃないの」 私の頭をナースシューズでぐりぐり踏みしめながら罵った。 「もうすぐ、自分の立場がどういうものか、分からしてあげるからね」 「・・・・は・・い・・」 「さっき、聞いてなかったの?私の名前は芳恵っていうんだけど」 「あ・・はい・・芳恵・・様」 「さぁ、そのまま四つん這いでついておいで!」 何も言わず四つん這いになろうとしたところ、ドスッと言う音とともに私は腹を蹴られた。 「ううっ・・・」 「返事はどうしたのよ?」 「は、はい・・・芳恵様」 先程の女性警察官といいこの看護婦といい今まで接した事のないひどい扱いに私の心は乱れていた。 そして最初に通された部屋に戻り瑠璃子と呼ばれていた女医の前に正座させられた。 彼女は私の体に描かれた文字を確認すると・・ 「ふふ・・いいわね。こうやってナンバーを打たれるとだんだんと本来の牡奴隷の姿に見えてくるから不思議よね」 「先生、外見はそう見えるかもしれませんが、こいつまだ内面はぜんぜんですよ。ホントむかつきますよ」 「芳恵ちゃん、もう少しの辛抱でしょう?ふふふ・・」 この時、私は何を言っているのかよく分かりませんでしたが、この後私の身におこる事は全く予想していないものでした。
「これでお前もりっぱな牡奴隷の体になれるわよ。」 言い終わると同時に私の首にその注射針を突き刺した。 鋭い痛みが一瞬私を襲ったが液体は見る見るうちに注入され止血止めのガーゼを押し当てられた瞬間から意識が朦朧とした。それから数十秒後私の体は火の様に熱くなり私は声を上げて叫んだ。 「熱い・・熱いよ〜・・・・・助けて・・」 私は取れるはずもない拘束された腕を力一杯外そうともがいた。 1分近くその熱さに耐えた後、ぴったりとそれは治まった。その後全身の皮膚が自分の意思とは別に勝手に動いているような感じがし、それが終ると全身が小刻みに震えだした。しばらくするとそれも治まり普通の状態に戻ったような気がした。 しかしなぜか寒さを感じ、柱の冷たさがかなり体に伝わっていた。さらに拘束された腕や足首がものすごく痛い。さっきもがいた時の痛みだろうと思っていたのだが・・・なんとなく全身が敏感になったような感じだ。
「何でそんな事をしたかはわかるわよね?お前のような牡奴隷を何も気にせず嬲る事ができるようにね・・ほほほ・・この薬はさらに通常の人間の感覚より5倍から10倍敏感になるようになっいるのよ、わかる?」 「そうよ、だから私が試してあげたでしょう。とっても痛かったでしょう。だから成功ってわけ。あはは・・」 そ、そんな・・・私は思わず恐怖で震えた。 牡奴隷を遠慮なく嬲れるように作られた薬・・そんなものがあるなんて・・・さらに感覚まで変化させて痛めつけるなんて・・・ 「ねぇとっても素晴らしい薬でしょう。これは私の先輩の上松麻子教授が発明したものなの、その先輩は若い頃から牡奴隷をもっと苛め抜いて苦しめるためにはどうしたらいいかを考えていろいろ研究してるの。今もきっと研究室ではたくさんの牡奴隷たちが研究材料として嬲られてるんじゃないかしら・・とにかく最高の薬だわこれは」 確かに牡奴隷を使う側にとっては最高の薬でも牡奴隷側からとったら最悪の薬だ・・。 「そうそう、言い忘れたけどこの薬を使用すると10年は寿命が短くなるそうよ。もっとも牡奴隷以外に使用する事は認められてないから関係ないけどね。ほほほ・・」 私は絶望と恐怖と寒さでブルブル震えていた。 (続く) |