その8
 私は自分で目の前に放り出された首輪を付けた。その首輪は内側にトゲのような突起物がある残酷なモノで弱めに巻いただけでも首筋に痛みが走った。
 新見と名乗った女性はそれを見逃さず・・・
「もっと強く着けなさいよ!首が絞まるくらいにね」
私はだまってそれに従おうとまた首輪に手をかけたが。
「返事はどうしたのよ、牡奴隷!」
彼女はそう言って私の顔をブーツの底で思い切り蹴飛ばした。
「ううっ・・・」
不意をつかれた感じで床に倒れこんだ。すぐさま、彼女のブーツの底が私の顔面を踏みつけ顔がみじめにひしゃげた。
「も・・・申し訳ご、ございません・・・」
私は何とか許しをもらおうと思いそう言った。
「私は新見ゆり、お前がこれから行く強制所の職員よ。もうすぐ分かると思うけどね、お前達牡奴隷にとっては雲の上の存在なのよ。私が一言いえば、お前なんか三日三晩泣き続けるほどの罰を与える事だってできるんだからね」
「は、はい・・・申し訳ございませんでした・・・ゆり様・・・」
「たまに強制所でお前達牡奴隷の横を通りすぎる時があるんだけど、みんな震えながら土下座してるわよ。ふふ。よっぽど私たちのお仕置きが怖いんでしょうねぇ」
「ど、どうかお許し下さいませ・・・」
彼女のブーツが私の顔から離れた。
「もう一度、そこに正座しろ!」
「はい、ゆり様」
「私が嵌めてやろうねぇ。ふふふ・・」
そして首輪をグイと引き締めた。
「ううっ・・・く、くるし・・・・」
息が出来ないくらい絞り上げられたのだった。
「あら、何よ?」
「ああ・・・ありがとうございます・・・・・ゆり様・・」
私は顔を真っ赤にしてかすれた声で御礼を言った。
その姿を見てほんの少し首輪を緩めてくれた。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます・・」
私は本気で彼女に御礼を言っていた。
「さあ、これを付けなさい」
リードが私の前に投げられたので今度はしっかりと返事をして行動した。
彼女は満足そうに私を見下げた。
「じゃあ行くわよ、207号、四つん這いで歩くのよ。お前はもう牡奴隷なんだから人間様のように2本足で歩く事は許されないんだからね」
「はい・・・ゆり様・・」
屈辱的な命令だった。
「それから、歩いている間決して上を見上げるんじゃないわよ。もしもその方が女性だったら大変失礼な事なんだからね。お前のような牡奴隷に目線を合わせただけでも女性にとってはとっても不快なのよ」
「はい・・・」
・・・・なんということだろう、顔をあわせるだけで不快なんて・・・自分はもうそんなものになってしまたんだ・・・
絶望に近い気持ちと屈辱感が私を支配した。

「さあ。お二方に御礼を言いなさい。お前なんかを相手にして下さったんだから丁寧に御礼を言わなくちゃね」
女性警察官と女性検事の二人に土下座で御礼を言わされて私は彼女のリードに従って部屋を出た。
廊下を通り、エレベーターに乗り正面玄関に来た。そこには大勢の人がいるようだったが私は下を向いて四つん這いで歩かされているため足と靴しか目に入らなかった。

通りすがりに・・・牡とか牡奴隷よ・・などの囁き声が聞こえ、一刻も早くこの場所から立ち去りたかった。
「駐車場までちょっと遠いけど、歩くわよ!」
「はい。ゆり様」
なんということだ、この姿で街を歩かされるのか・・・まるで引き回しの刑だ・・・そう思いながら彼女に従った。
すでに、四つん這いの膝は擦りむけて血が滲んでいて激痛だったがさらに硬いコンクリートや歩道などの道にある小石などが私を苦しめた。
そんな事はまるでおかまいなく、彼女は悠々と歩いていく。私は息が切れてすでにゼイゼイいっていた。
そして少し遅れてリードがピンと張り彼女の手に重みを感じさせてしまった。
「何してんのよ。このノロマ!」
歩道で横っ腹を蹴られてうずくまる私、その様を通行人たちが嘲笑している。その中には・・
「フン、いい気味だわ。牡奴隷なんだからもっと虐めてやればいいのよ」とか
「ほんと、もっと厳しい拘束で歩かせてやえばいいのよ」・・・などと言っている女性たちの声が聞こえた。
私はひたすら、ゆり様に謝り。なんとかその場を許して戴いた。 
しばらく歩くと急に立ち止まり。
「あ、そうだ、今日は発売日だ。」
そう言って女性ファッション誌の名前をあげた。
「お前は中に入れないから、ここでお待ち!」
そう言うとリードを近くの場所に結んで固定してお店に入って行ってしまった。
私はほぼ全裸で四つん這いの格好で一人そこに残された。
その間がなんと長く感じたことであろうか。私を見て蔑んだ言葉を浴びせていく女性達・・・中にはゴミを投げつけたりする女性までいた。
そして4〜5人の女子高生が私のところに近寄って来た。
「あー、こんな所に牡奴隷がいるぅ〜」
「うわ〜ホントだ。コイツ番号ついてるぅ〜」
私は顔を上げる事は許されていないのでうつむいたままだ。彼女達の足と靴と紺のソックスだけしか見えない。
「なんでこんな所にいるの?」
「きっと女御主人様が中で買い物でもしてるんじゃない?」
「ねぇ、ちょっと遊んじゃわない?」
「そうね、暇つぶしに」
その時、私の頭には・・・・牡奴隷は全ての女性を崇拝し服従する義務を負う・・という女性警察官の言葉が浮かんでいた。規則を破れば厳罰・・・
そして、女子高生の一人が私に話しかけた。
「ねぇ、お前。ここで何してるの?」
「は、はい・・・・・強制所の職員様をお待ちしています・・・」
私はその場で伏せながら答えた。
「強制所?」
「お前まだ行ってないの?」
「はい、先ほど判決を戴きこれから向うところです」
「え〜、すごい。そんな奴、初めてね。て言うことはさっきまで人間だったの?」
「・・・は、はい・・」
「どうりでね。もし調教を受けた牡奴隷なら私たちが話しかかけた段階で、ブルブル震えながら許しを請うはずだからね」
「なんか、おもしろい、さっきまで人間だったなんて・・・あははは・・」
私は地面に伏せながら彼女達の話を聞いている・・・
すると、もう一人の女子高生が私の目の前に靴を出した。
「さっき、泥だらけの道通ってきたからローファーが汚れてるのよねぇ〜」
「は、はい・・・」
「はい。それだけ?」
「い、いえ。あの・・」
「この、まぬけ!何て気がきかない牡奴隷なの!靴の底を掃除させてやるって言ってんだよ!バカ!」
頭を思い切り靴で小突かれる。
「も、申し訳ございません・・・」
「さっさとお前の方からお願いしたら?」
「はい・・・靴の底の掃除をさせて・・戴きます・・」
「こいつ、ホントにバカね。調教前の牡奴隷ってこんなものなの?」
「無理もないんじゃない。さっきまで人間だったんだもんねぇ?ははは・・」
「しょうがない。教えてやるから、その通り言いな!いいね」
「はい・・・」
「(どうか、お嬢様方のお靴の底のお掃除をこの醜い牡奴隷めの舌でさせて下さいませ)こう言うんだよまぬけ!」
屈辱だった。全く見ず知らずの通りがかりの女子高生にこんな事を言わされるなんて・・・私は屈辱で顔が真っ赤になった。
しかし絶対に逆らえない・・・
「ど、どうかお嬢様方の・・・・お靴のお掃除を・・・させて」
バスッと音がして私の頭を彼女の靴が捕らえ地面に押し付けた。
「ほら、醜い牡奴隷めが抜けてるだろう?それにちゃんと頭を地面につけろよ、バカ!」
話し方からいってあまり育ちのよさそうな子達ではなかった。
「どうか・・・お嬢様方のお靴の底のお掃除を・・この・・醜い牡奴隷めの舌で・・させて下さいませ」
「いいよさせてやるよ。あははは・・・」
女子高生達の蔑んだ笑い声がさらに私を惨めにさせた。
(続く)
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