思 慕 私は雅史の身体に情け容赦なく、ピアノ線を編み込んだ表面に棘のある一本鞭を浴びせる。 「うぎゃー!許して、許して下さい。死んでしまいます、お許しを…」 雅史の哀願を無視して、私は鞭を振るい続ける。 「ひいっ、ひいっ、止めて、止めて下さい…」 私は泣き喚く雅史を叱りつけ、更に酷く鞭を振り下ろす。 「ふざけるんじゃないわよ!自分がしでかした事を思い出しなさい!」 雅史の皮膚はズタズタに引き裂かれ、悲鳴を上げる余裕も泣くなり、息も絶え絶えとなって、ようやく私は鞭を止めた。うつ伏せになって喘いでいる彼を蹴って仰向けにし、私はブーツを履いている右足を上げた。 「うじ虫めが!こんなもの、踏み潰してやるわよ!」 私は雅史の股間を思い切り踏み付けた。ブーツの底で、彼の睾丸が潰れる感触を覚えた。 「ぎえぇーっ!」 雅史は獣じみた絶叫を上げて、ショックで絶命した。 雅史は目を覚まし、上体を起こすと頭を振った。既に日は昇り、時計は朝の7時を表示していた。彼は枕元のティッシュを取り、夢精した痕を拭った。ベッドから降りた雅史は、壁に飾られた額縁付きの写真に向かって土下座した。 「晴美様、本日も夢の中で調教して下さいまして、真にありがとうございます」 雅史は私の写真に礼を述べると、朝の支度をして、そそくさ出勤した。私はマンションを出ていく彼の後ろ姿を見送り、部屋を見渡してため息をついた。私の写真は彼の部屋中に飾られている。彼の棚にあるアルバムには、私の写真しか貼っていない。テレビのデッキに並んでいるDVDは、全て私と雅史のSMプレイを記録したものだった。 「まだ、26歳で若いんだから、いい加減に私の事を忘れたらいいのに…」 私は独り言を呟いたが、それは本心ではなかった。 私と雅史の出会いは、もう3年前になる。新入社員だった雅史を、当時29歳のお局だった私が取り込んだのだ。私は生来のサディスティンで、大学時代にはSMクラブで女王様のバイトをしていた。就職して自分を押さえていたが、どこか少年ぽいハンサムな雅史を見て、自分の奴隷にしたくなった。仕事に不慣れな彼を指導する名目で、あれこれと世話を焼いて信用させた私は、新人歓迎会で雅史に酒を勧め、酔った彼をマンションまで送り届けた。雅史はそのまま、ベッドに倒れ込んで寝てしまった。 目が覚めた雅史は、凄く驚いていた。何しろ全裸にされ、洗濯用ロープで後ろ手に拘束されて、ベッドに転がされていたのだから。 「高田主任、これは何なんですか!?ほどいて、ほどいて下さい!」 私はにんまりと笑うと、服を脱ぎブラジャーとパンティだけの下着姿になった。雅史は私の豊満な身体を見て、目を丸くした。 「そんなに脅えなくていいのよ。新人のあなたに、大人の世界を教えて上げるだけだから」 私は雅史の股間に手を伸ばした。彼はとまどっていたが、私の柔らかな手の愛撫で、直ぐに股間のものを硬く屹立させた。 「ああっ、止めて、止めて下さい…」 雅史はハンサムな顔を恥ずかしさで真っ赤にさせて、身悶えた。彼の恥じらいに嗜虐心を刺激された私は、彼のものをしごきながら叱った。 「こんなに硬くして、何を言ってるのよ!気持ちいいくせに…もっと素直になりなさい!」 私は雅史の屹立したものを、歯を立てないように気を付けて唇で包み込み、舌をチロチロと動かしながら頭を上下に動かした。 「ああーっ」 雅史は高まる快感に、声を上げた。彼のものが更に大きくなったのを感じた私は、一旦口を離した。そして指の腹で彼の亀頭部分を撫でさすりしながら、睾丸をねっとりと舐め上げた。 「ひいぃーっ、い、いいーっ」 雅史は今まで経験したことのない快感に、身体をくねらして女の子みたいな喘ぎ声を出した。私はブラジャーを外すと、豊満な乳房で彼の硬いものを挟んで、ゆさゆさと揺らした。雅史は首を振って、快感に耐えていた。私は胸を離すと、爪の先で触れるか触れないかの微妙なタッチで、彼の亀頭部分を刺激し続けた。それを長いこと続けると、雅史は泣きそうな声を出した。 「ああっ、お願いです、いかせて、いかせて下さい。気が狂いそうです」 しかし、私は雅史を楽にさせるつもりはなかった。彼に射精寸前の快感をずっと感じさせ、悶える姿を楽しむつもりだった。 「ふんっ、男のくせに女の手で悶えるなんて、恥ずかしくないの!いきたかったら、勝手にいきなさいよ!」 私は彼を罵り、決していかせないように加減して刺激を与え続けた。雅史は、ついに泣き出した。 「お願いです、いかせて下さい。何でも言うことを聞きますから、お願いします…」 そろそろ限界と見切った私は、雅史のものから手を離した。そして、彼の脱がしたスラックスから革ベルトを引き抜き、バックル部分を手に巻いた。私はベッドに横たわっている雅史の両足を広げ、その間に立った。 「望み通りにいかせて上げるわ。動くんじゃないわよ!」 革バンドを手に、パンティ1枚の姿で立っている私の豊満な身体を前にして、雅史は目を見開いた。彼は蛇に睨まれたカエルの様に動けなくなっていたが、股間のものだけが限界まで硬くなって揺れていた。私は右手を振り上げると、その硬く屹立したものに容赦なく革ベルトの一撃を加えた。 「ぎゃあぁーっ!」 革ベルトが雅史の屹立したものに絡みつき、雅史は絶叫を上げた。私はかまわずに、乳房を揺らせて再度彼のものを打ち据えた。 「うおぉうーっ!」 雅史は獣のような大声を出して全身を震わせると、硬くしたものから夥しい白濁液を噴出させた。彼は体をひくひく痙攣させ、すすり泣いた。私は雅史の泣き顔を見て満足そうに微笑み、革ベルトを床に放った。そして、彼の体に跨り、強烈な往復ビンタを浴びせた。 「ひいぃっ」 目が眩む程のビンタを受け、雅史は情けない悲鳴を上げた。 「男のくせに、女に革ベルトで打たれて射精するなんて、最低の変態だね!恥ずかしくないのかい!」 私が罵ると、彼は泣き声を出した。 「そ、そんな…許して、許して下さい…」 私は勢いに乗り、彼の顔面に跨った。
「あひいぃっ」 敏感な所を刺激され、彼の股間のものは再び硬くなった。 「ふんっ、男のくせに肛門を刺激されて勃起するなんて、どこまで変態なのよ!」 私の罵声に、雅史の体が小刻みに震えた。私は彼に、酷い選択をさせた。 「お前みたいな変態には、まだお仕置きが必要ね…今から肛門に熱湯を注ぎ込まれるか、私のおしっこを飲むか、好きな方を選びなさい!」 「そ、そんな…どうか、許して下さい…」 雅史は震え声で哀願したが、私は許さなかった。 「甘えるんじゃないよ!それなら、私が選んであげる。肛門に熱湯をたっぷり入れてやるわよ!」 雅史は悲鳴を上げて、許しを請うた。 「お願いです、それだけは許して下さい。お願いします」 私は雅史を追いつめた。 「じゃあ、どうするの!私のおしっこを飲む?それとも、熱湯を選ぶ?」 「…わかりました、お、おしっこを飲みます」 私は震え声で返答した雅史を蹴って仰向けにし、彼の顔を踏みにじって罵った。 「女のおしっこを飲む方を選ぶなんて、正真正銘の変態ね!普通の男なら、潔く舌を噛み切って自殺するわよ。お前はもう、男じゃないわ。最低の人間便器よ!」 雅史の呻き声と身震いを足裏に感じ、私の気分はますます高ぶった。私は雅史の顔を跨ぎ、腰を落とした。彼の目を見据えて、酷い命令を下した。 「望み通りにおしっこを飲ませてあげるわよ。口を大きくお開け。一滴もこぼすんじゃないよ。もし、こぼしたら、肛門に熱湯を入れるからね!」 雅史がおずおずと口を開くと、私は股の力を抜いて排尿した。彼がこぼさずに全て飲めるよう、水量を加減するのに些か苦労した。雅史は目を白黒させながら、必死に私の尿を飲み下していた。私は排尿を終えると、舌で後始末するように命じた。 「お前は私のおしっこを飲んだのよ。豚でも、おしっこなんか飲まないわ。お前は豚以下の、最低の変態だよ。お前はもう、私の奴隷だね。それも、最低の便器奴隷になったんだよ!」 私は雅史に尿で濡れた陰部を舐めさせながら、洗脳するように言い聞かせた。雅史は舌を動かしながら、すすり泣いた。いい加減に舐めさせて立ち上がり、振り返った私は驚いた。雅史は、再び射精していた。彼は、私の尿を飲んで射精してしまったのだ。私は雅史を思いきり嘲笑ってやった。 「お前、私のおしっこを飲みながら射精したの!?女のおしっこを飲んで、興奮していっちゃったわけ?やっぱり、お前は本物の変態だったのね。アハハハ…」 雅史は、あまりの屈辱に声を上げて泣き始めた。浴室に、私の笑い声と雅史の泣き声が反響した。 その日から、雅史は私に絶対服従する奴隷になった。会社では主任と新入社員の立場を崩さず、私と彼の付き合いは誰にも秘密にした。私は自宅から通勤していたので、彼のマンションを調教部屋として使用し、ネット通販で責め道具を豊富に揃えた。私は雅史を虐め抜き、失神寸前で屈辱の射精を強いた。雅史は元々マゾの素質があったようで、いつしか私の責め無しでは満足出来ない体になっていた。 雅史を調教する楽しい日々が一年余り続いたが、私が30歳になった時、親が勧めた35歳の青年実業家との結婚を決めた。自分でも、そろそろSMと縁を切り、普通の家庭を築かなければと考えていたのだ。私が雅史に別れを告げると、彼は泣いて取りすがった。 「そんな、晴美様に捨てられたら、僕は生きていけません。お願いです、何でもします、何でも言うことを聞きます。お願いですから、捨てないで下さい…」 私も雅史と別れるのは辛かったが、心を鬼にして命令した。 「お前は、私の奴隷でしょう。それなら、最後の命令を聞きなさい。私の事は忘れて、他の女御主人様を探すこと。いいわね!」 私は冷たく言い放ち、雅史のマンションを後にした。背中に雅史の泣き声が貼り付いていた。 雅史に別れを告げた三日後の夜、自宅付近で私は後ろから包丁で刺され、死亡した。警察は通り魔事件として捜査したが、犯人逮捕には至らず、迷宮入りとなった。しかし、私は自分を刺したのが雅史だと知っていた。 幸せな結婚生活を目前にして殺された私は、無念で成仏出来ず、幽霊になってしまった。怒り狂った私は、雅史に取り憑いて呪い殺してやると決心した。しかし、幽霊の私は誰にも見えず、誰の体も素通りするだけで、雅史に触れることも出来ず、歯ぎしりするだけだった。それでも見えない私が雅史にまとわりついていると、彼が眠っている間、夢の中に出て来られる事に気が付いた。私は雅史の夢に化けて出てやり、彼を精神的に追いつめて廃人にさせてやると誓った。 「は、晴美様…」 初めて雅史の夢に出た時、彼は驚愕して体を震わせ、ろくに口が利けなかった。 「雅史…よくも私を殺したわね!この恨み、晴らさずにおくべきか!」 私は雅史を思い切り殴りつけた。彼はその場に倒れたが、直ぐに私の足元に這いつくばった。 「ああっ、晴美様…僕は晴美様が遠く離れてしまうのが耐えられなかったのです。僕も後を追うつもりだったのですが、どうしても死に切れませんでした…どうか、晴美様の御手で僕を殺して下さい」 私は雅史の頭を踏みにじり、怒鳴り付けた。 「言われなくても、殺してやるわよ!覚悟しなさい!」 私が刃物が欲しいと思うと、手に包丁が現れた。夢の中では、思った通りになるらしい。足元で土下座している雅史は、いつの間にか全裸になっていた。私は雅史の頭を蹴り飛ばし、仰向けに倒した。仰向けになった彼の股間のものは、どういう訳か硬く屹立していた。 かっとなった私は、しゃがんで雅史の硬くなったものを握りしめた。 「何を興奮しているのよ!こんなもの、切り落としてやるわ!」 私は彼のものを、包丁でひと思いに切り落とした。 「ぎゃあーっ」 雅史は絶叫を上げて、ショック死した。 深夜、雅史は汗びっしょりになって、目を覚ました。彼は、まず自分の股間を覗き込み、一物がついているかどうか確認した。 「…夢か」 私は雅史の驚いた様子を見て、ほくそ笑んだ。この調子で毎晩悪夢を見せてやれば、彼は精神に異常を来すだろう。しかし、雅史は思わぬ行動を取った。壁に貼ってある私の写真に向いて土下座し、謝意を述べたのだ。 「ああっ、晴美様。夢の中に出て来て下さり、ありがとうございます。晴美様になら、どんな目に遭わされても、殺されても、本望です。是非僕を殺して、晴美様の世界にお連れ下さい。また、夢で晴美様に会えますように…」 雅史はそう言うと、またベッドに潜り込んで目を閉じた。私は呆れてしまった。 (まだまだ、責めが足りないようね…もっと酷い目に遭わせて、発狂させてやる!) 私は自分に誓い、雅史が夢を見るのを待った。
雅史は轡の奥からくぐもった絶叫を上げ、ショック死した。 目を覚ました雅史は自分が夢精しているのに気づいて、枕元のティッシュの箱を取り、股間を拭った。そして、壁に貼ってある私の写真に向かって土下座した。 「晴美様、調教を賜り、真にありがとうございます」 それからベッドに潜り込み、今度は夢も見ずにぐっすりと眠った。私は雅史の様子を見て、彼に復讐しているのではなく、喜ばしているような矛盾を感じたが、頭を振って思い直した。 (毎晩悪夢を見させ、恐くて眠れないようにしてやる!) 夢の中で、雅史は両手両足を手錠で拘束され、芋虫みたいに転がされていた。私は雅史の口に漏斗型の口輪を嵌めた。 「お前、聖水は飲めたけど、黄金は最後まで食べられなかったわね。今日は、お前の口に黄金を無理やり流し込んでやるわ。吐き出したら、ただじゃ済まないわよ!」 私は雅史の顔に跨り、いきんだ。自分の肛門から大便が排出される感触を覚え、我ながら強烈な臭気が漂った。尻下の雅史は顔を真っ赤にして苦しんでいた。私が排便を終え、立ち上がると同時に、雅史の口から噴水のように嘔吐物が噴き出た。 「あれ程、吐くなと注意したでしょう。覚悟は出来ているんでしょうね!」 私が欲しい物を思い浮かべると、大型のガラス製浣腸器と薬品の瓶が出現した。私は雅史を蹴ってうつ伏せにすると、浣腸器を手にして、薬品を充填した。 「お前の腐ったはらわたを、完璧にきれいにしてあげるわ」 私は浣腸器の先端を雅史の肛門に当てがうと、一気に薬品を注入した。途端に肉が焼けるような臭いが漂い、彼はもがき苦しんだ。私は悶え苦しむ雅史の顔を踏みにじって、嘲笑った。 「硫酸の浣腸は気持ちいいでしょう。これで、はらわたがきれいさっぱりになるわね」 雅史は白目を剥いてもがき苦しみ、絶命した。 雅史は目を覚ますと、私の写真に土下座した。 「晴美様、僕を殺して下さり、真にありがとうございます…現実に死ねないのが、本当に残念です」 雅史を苦しめて、呪い殺してやろうとしている私は、頭を悩ませた。 雅史は若いハンサムなので女子社員からの誘いが頻繁にあったが、全て断っていた。彼は会社から戻ると、夜遊びの一つもせず、アルバムに貼ってある私の写真を見たり、私とのSMプレイを記録したDVDを見たり、部屋の壁中に私の写真を飾ったりして、ため息をつき、涙ぐんだ。鞭を構えた私のボンテージ姿の写真を見て、「ああっ、晴美様、僕を殺して下さい…晴美様の世界に連れて行って下さい」と言いながらするオナニーが、雅史がする唯一の性処理だった。彼は寝る前、壁に飾られた私の写真に土下座し、「晴美様、今夜も夢で調教をお願いします」と懇願してベッドに入るのを習慣にしていた。 雅史に殺されてからの二年間、私に対する彼の思慕を目の当たりにして、私の怨念もいつしか消えてしまった。しかし、私は成仏出来ない。雅史の思慕が、私を引き留めるのだ。私も雅史の夢に出て、彼を虐め殺すのが楽しみになっていた。このままでは、雅史は結婚出来ずに一生独身で、普通の幸せな家庭は持てないだろう。それが、私を殺した罰になるのだろうか…。 雅史に再会出来るのは、彼が死んで私と同じ幽霊になった時だろう。それが、いつになるのかは分からない。ところで、幽霊同士でSMは出来るのだろうか…それが、今の私の考え事だ。 おわり |