支 配 その1 藤原高志は豪勢な屋敷を前にして、思わず口笛を吹いた。
「凄い館だなあ。門からここまで、車で10分以上は掛かったよ。敷地内は全て葡萄農園になっているし、ドイツにこんな所があるなんて知らなかった」
隣で新妻の涼子が笑った。
「高志さんは都会しか行った事が無いから、知らないのね。ヨーロッパの地方には、結構こんな所があるのよ」
「僕の部署は工作機械だからね。田園地帯には行った事が無いから、全然知らなかったよ」
商社マンである29歳の高志は、頭を掻きながら答えた。同じ会社の食品輸入部門に勤めている27歳の涼子と一年の職場恋愛を経てゴールインし、新婚旅行でヨーロッパに訪れていた。新婚旅行は全て涼子がプランを立て、初日は彼女がドイツ留学していた時にホームステイしたドイツの家庭に一泊する予定だった。高志はごく普通の一般家庭を想像していたが、広大な敷地内の屋敷に驚いていた。
涼子が玄関のベルを鳴らすと、しばらくして重そうなドアが開き、大柄な女性が二人を迎えた。
「いらっしゃい、お待ちしてたわ。涼子、本当に久しぶりね。ずっと会いたかったのよ。こちらが旦那さんね。初めまして、イルゼ・ラングです」
イルゼと名乗った35歳の女性はウェーヴの掛かったプラチナブロンドの髪を肩まで伸ばし、ゲルマン民族らしい彫りの深い美しい顔立ちだった。高志も身長175センチはあるのだが、彼女は高志より背が高くて、肩幅も広く、がっちりとした体つきだった。服を突き破りそうな豊満な胸と、くびれたウエストの下の大きなヒップが、いかにも大柄なドイツ女性らしかった。
イルゼの灰色の瞳でじっと見つめられた高志は、些か気後れしながらも右手を差し出し、握手して、
「初めまして、藤原高志です。今晩お世話になります」
と流暢なドイツ語で挨拶した。彼は仕事柄、英語とドイツ語が話せたし、涼子もドイツに留学していたので、言語に問題は無かった。
「長旅で疲れたでしょう。早く中へ入って。クララ、エレン、お客様の荷物をお運びして頂戴」
イルゼに呼ばれた二人のメイドが、高志と涼子のスーツケースを中に運んで行った。金髪の方がクララ、栗色の髪の方がエレンで、二人とも20歳位の清楚な美人のため、高志はつい見とれてしまい、涼子に尻を抓られてしまった。
到着したのが夕方の食事時だったので、高志と涼子が案内されたダイニングのテープルには豪勢な料理が並んでいた。
「涼子がハネムーンで立ち寄ってくれると聞いて、腕を振るったのよ。遠慮しないで召し上がってね。このハウスワインはラング家の自慢なの。フランスのワインより遥かに美味しいわよ」
高志のグラスに琥珀色のワインが注がれ、芳醇な香りが彼の鼻をくすぐった。三人は食事しながら涼子の留学生時代の思い出や、ラング家の歴史について懇談した。
「…それで伯爵の称号を持った貴族の家柄でも、二度の世界大戦を経て没落してしまったの。お祖父様の時代にはまだ執事や料理人や使用人が大勢いたらしいんだけど、私の代になったら行儀見習いのクララとエレンの二人だけになっちゃったわ。寂しいものよ」
涼子は、ワインを空けながら話した。
「でもイルゼのご主人は、ドイツ有数の大会社の御曹司じゃないの。海外出張が多くて留守がちだけど、私達庶民と違ったセレブな生活で羨ましいわ」
「まあ確かに旦那のおかげで、趣味の家庭菜園も続けられるわね」
広大な葡萄農園が趣味の家庭菜園とは…レベルとスケールの違いに、高志は唖然としてしまった。
料理とワインが進むにつれ、高志はウトウトし始め、うっかりグラスを倒してしまい、テーブルクロスにワインの染みを広げてしまった。
「あっ、失礼…ワインが美味しかったので、飲み過ぎてしまいました…」
「いいんですよ、長旅でお疲れになったんでしょう。クララ、お客様を寝室にご案内差し上げて。高志さん、ゆっくり休んで下さい。私は涼子と、もう少しお話ししてますわ」
イルゼに促され、高志はふらつきながらテーブルを離れた。
「それでは申し訳ありませんが、お先に失礼させて頂きます」
クララの案内で寝室に入った高志は、自分はもっと酒に強い筈なのにと思いながらベッドに倒れ込み、そのままぐっすり眠ってしまった。
高志は頭に錐がねじ込まれた様な痛みで目を覚ますと、自分が全裸で鉄格子の檻に閉じ込められているのに気がついた。高志は両手で鉄格子を掴み、周囲を見渡すと、窓一つ無いレンガの壁に色々な種類の鞭、鎖や拘束具が掛けられ、室内には使い方がよく分からない拷問器具が並べられていた。部屋の隅に手摺付きの上り階段が設置され、床は茶色いリノリウム張りで、ほの暗い照明が陰鬱な雰囲気を醸し出している。
高志は痛みが薄れてきた頭を振り、考えを廻らせた。
(酔いが早いと思ったら、ワインに薬が盛られていたようだ…しかし自分をこんな所に監禁して、どうするつもりなんだ?それより涼子は無事なのか?)
高志が考えていると、音を立ててドアが開き、コツコツとブーツを鳴らしてイルゼがメイドのクララとエレンを引きつれ、階段を下りて来た。高志はイルゼ達三人の服装を見て、驚いた。
イルゼは髑髏のマークが付いたナチス親衛隊の制帽を被り、上衣は胸に黒十字の勲章が飾られている黒色のナチス親衛隊将校の制服で、下衣は黒革の乗馬ズボンに黒色乗馬用ブーツを履いている。クララとエレンはナチス下士官用の帽子と制服を着用し、下衣は白革の乗馬ズボンに黒色乗馬用ブーツだ。高志は昔見た戦争映画の、ナチス女性将校がスクリーンから抜け出して目の前に現れた様な気がした。
高志は、自分が閉じ込められている檻の前に立ちはだかったイルゼ達に喰って掛かった。
「イルゼさん、どういう事なんだ!僕をこんな所に閉じ込めて、何をするつもりだ!」
イルゼは氷の様に冷たい灰色の眼で高志を睨み、一喝した。
「お黙り!黄色い猿が、キーキー喚くんじゃないよ!」
イルゼの毅然とした態度と威厳のある声に、高志は一瞬怯んだが、再度大声で抗議した。
「ふざけるな!さっさと、ここから出せ!それと涼子をどうしたんだ!」
イルゼは口元の端を歪め、薄笑いを浮かべた。
「雄猿と雌猿を一緒にして、さかられても見苦しいから、別の檻に入れてるわよ。まあ、そんなに出たいのなら、出して上げるわ」
イルゼが顎をしゃくると、傍らのエレンが檻の鍵を解き、鉄格子の小さな扉を開けた。高志が身を屈めて檻から出ると、イルゼは彼の股間を指差して嘲笑った。
「ふん、レディの前でそんな醜いものをぶらぶらさせて、恥ずかしくないのかい。やっぱり黄色人種は下等だね」
イルゼに指摘されて、高志は自分が全裸なのを思い出し、慌てて両手で股間のものを隠した。その途端、高志の頬にイルゼの強力な平手打ちが炸裂し、彼は短い悲鳴を漏らして床に倒れた。
「下賎な黄色人種め、掛かっておいで。もし私に勝てたら、自由にして上げるわよ」
イルゼに挑発された高志は頭に血が上り、立ち上がると、
「ふざけるな!」
と喚いて、掴み掛かった。しかしイルゼの素早いカウンターパンチを顎に喰らい、その場に崩れ落ちた。
「あら、もうお終い?あっけないわね。日本男子のくせに女に負けるなんて、とんだ恥さらしだわ」
イルゼに嘲笑された高志は、歯ぎしりして脳震盪でぐらぐらする頭を振り、気力で何とか立ち上がった。素人ながら、ボクシングの構えを取る。
「まだ、やれるみたいね。少し遊んであげるわよ」
イルゼの速く重い回し蹴りが、高志の脇腹に吸い込まれた。
「ぐえっ」
短い呻き声を出し、前屈みになった高志の横顔に、イルゼの肘打ちが叩き込まれた。高志は悲鳴すら上げれず、床に倒れた。
「愚かな黄色人種ね。私はお祖父様から、軍隊格闘術を教わったのよ。お前みたいな劣等人種なんか、ひとひねりで殺せるわ」
イルゼは振り返り、クララとエレナに命じた。
「この低脳な黄色人種をもう少し可愛がって、身の程を教えて上げなさい」
二人の軍服姿のメイドは微笑んでうなずくと、床にのびている高志を乗馬用ブーツでドカドカと蹴り始めた。
「いつまで寝てるのよ、この猿!早く起きなさい!」
「男のくせして、女に負けっぱなしでいいの!さっさと、お立ち!」
高志はブーツで蹴られる痛みに耐えかね、よろよろと起き上がった。クララは彼に往復ビンタをして、嘲った。
「下等な黄色い猿め、遊んでやるから、掛かってきなさい!」
かっと顔が火照る屈辱が、高志に気力を奮い起こさせた。
「うおーっ」
高志は叫び声を上げて、クララに殴り掛かった。
「何回寝転がれば、気が済むのよ!さっさと立ち上がりなさい!」
「立ち方も分からないなんて、黄色人種は赤ん坊以下ね!立たないと、蹴り殺すわよ!」
ようやく呼吸が出来るようになった高志は、涙をぼろぼろこぼしながら哀願した。 「ひいっ、止めて、止めてくれ。もう立てないんだ。どうか止めてくれ」 さすがにイルゼが、蹴り続けるメイド達を制止した。
「クララ、エレン、もう、それ位でいいわ。この黄色い猿は、本当に立てないみたいよ」
クララとエレンは蹴るのを止め、高志は床にぐったりと体を横たえた。イルゼがメイド達に、笑って話し掛けた。
「二人とも軍隊格闘術の腕が上がったわね。あっという間に下等な雄の黄色人種をノックアウトするなんて、大したものだわ」
クララとエレンは、照れた様子で答えた。
「いいえ、まだまだイルゼ様の足元にも及びません。この黄色人種が弱過ぎるだけです」
「こんなに弱い劣等人種なら、10歳の女の子でも勝てますわ。ウォーミングアップにもなりませんよ」
高志はイルゼ達の会話を聞き、口惜しくて歯ぎしりし、涙をこぼした。彼は負けん気が強く、外国人と渡り合えるように必死に語学の勉強をし、日本男子としての誇りを持ってドイツの工作機械の取引を担当していた。
しかし白人女性と本気で勝負し、あっさり負けて、徹底的に叩きのめされてしまったのだ。男なのに女に負けた屈辱は、彼のプライドを粉々に打ち砕き、流れる涙を止める事が出来なかった。しかし高志が涙を流すのは、これからが本番だった。
イルゼは壁に掛けられていた一本鞭を手にすると、床に横たわって喘いでいる高志に振り下ろした。黒光りする革製の一本鞭が風を切って彼の胴体に打ち込まれ、絶叫が湧いた。
「うぎゃーっ」
真っ赤に焼けた鉄棒で殴られた様な激痛と衝撃に、高志はのた打ち回って苦しんだ。イルゼは再度彼の体に鞭を打ち込み、大声で叱りつけた。
「下等な黄色人種の分際で、いつまで偉そうに寝てるつもりなのよ!ひれ伏して、遊んでもらったお礼を言いなさい!」
体を刃物で切られた様な激痛に、高志は泣き叫びながら、打撲で軋む体を無理に動かして土下座した。
「ひいーっ、もう止めてくれ、打たないでくれ」
しかしイルゼは構わず、土下座した高志の背中を鞭打った。
「ぎえぇーっ」
背中を焼けたサーベルで切り込まれた様な耐え難い痛みに絶叫を上げ、のけ反った高志の顔を、イルゼはブーツで蹴り飛ばした。
「下賎な劣等民族は、口の利き方も知らないのかい!“止めてくれ、打たないでくれ”なんて横着な物言いをするんじゃないわよ!普通は“お許しを”とか“お慈悲を”とか言うものだよ!」
高志は赤い条痕が浮かび上がり、痛みで硬直した体を無理に動かして、再び土下座した。
「イルゼ…様、どうか、お許し下さい…何とぞ、お慈悲を…」
高志はあまりの屈辱に目が眩む思いをしながらも、これ以上鞭打たれないように、つっかえながら許しを請うた。イルゼはふんっと鼻を鳴らし、土下座した高志の頭をブーツで踏みにじった。頭部に受けた圧迫と苦痛が、高志の屈辱感を倍増させた。
「全く、無知な黄色人種は言葉使いから躾けないといけないから、手間が掛かるわ。おいおい調教して上げるから、這って檻へお帰り!」
イルゼは高志の頭からブーツを外し、鞭で床を叩いて命じた。
「ひいっ」
鞭音に怯えた高志は、慌てて檻の中へ這い戻った。クララは檻の扉を閉め、施錠して彼を閉じ込めた。イルゼは檻の前に立ちはだかり、高志に説明し始めた。
「お前はさっき、“どういう事なんだ”と尋ねたわね。低脳な黄色人種でも分かるよう、特別に教えて上げるわ。私達高貴な白人は、下等な有色人種のお前達が対等な人間として振舞ってるのが我慢出来ないのよ。薄汚い有色人種は白人の家畜、程度が良ければ奴隷として働くのが自然だわ。それなのに世の中ではエセ人権主義者どもがはびこって、間違った平等を唱えている。私は間違った世界を正してやるのよ」
高志は檻の中でイルゼの話を聞いて、唖然とした。イルゼは過激な白人至上主義者だ。これから自分をどうするつもりなのか…イルゼの話は続いた。
「世間は風向きが変ると、態度も変えるわ。名門ラング家が没落すると、多くの人達が離れていった。その中で、お祖父様は熱心に勉強し、必死に努力してナチス親衛隊の少佐にまで登りつめたわ。当時はトップエリートで、離れていった人達はまた寄って来て、お祖父様をちやほやと褒め称えた。しかし戦争に負けると手の平を返して、お祖父様を犯罪者呼ばわりして非難したわ。お祖父様は幼い私に無念の内を語り、色々な知識と技術を教えてくれた。私はお祖父様の理想だった白人支配の世界を創造するのよ!」
狂ってる…イルゼの話を聞き、高志はぞっとして鳥肌が立った。イルゼとメイド達がナチスの軍服を着ている理由は何となく分かったが、自分が虐待される理由が分からなかった。高志は思い切って尋ねてみた。
「…あの、昔ドイツは日本と軍事同盟を結んでいたのに、なぜ日本人の僕をこんな酷い目に遭わせるのですか?」
イルゼは、鼻で笑って答えた。
「どこまで愚かなんだろうね。誇り高きドイツ帝国が、黄色人種国家の日本と本気で友好関係を結んだと思ってるのかい。もしドイツが戦争に勝っていたら、日本は属国にして、日本人はドイツ国民の奴隷になっていたわ。お前は何か勘違いしてるようだから、徹底的に調教して身の程を教えてやる必要があるわね。これからの調教を楽しみにしといで」
イルゼはそう言うと踵を返し、クララとエレンを連れて地下室を出ようとした。高志は慌てて、イルゼを呼び止めた。
「待って、待って下さい。涼子は、妻の涼子はどうしているんですか?」
イルゼは振り返り、嘲るように答えた。
「あの黄色い雌猿は、別の檻に隔離してると言ったでしょう。以前お金のために、屈辱を押し殺してホームステイさせてやったら、友人になったと勘違いしてるから、念入りに調教して上げるわよ」
高志は、悲鳴の様な声を上げた。
「止めてくれ、涼子に手を出さないでくれ!」
イルゼは灰色の冷たい目で、じろりと高志を睨んだ。
「相変わらず口の利き方が悪いわね。雌猿の心配より、自分の心配をおし!」
イルゼは吐き捨てるように言うと、メイド達を連れて階段を上り、地下室を出て行った。一人檻に残された高志は、両手で頭を抱えてうなだれた。これから、どうなるのか…不安で胸が押し潰されそうだった。
それから二・三時間位経つと、高志は空腹を感じた。地下室で時間は分からないが、薬で眠らされてから丸一日は経ったのだろう。腹が鳴り、何か口に入れたいと願った。
その時ドアが開き、クララとエレンが階段を下りてきた。クララはボウルを手にしている。エレンが檻の鍵を解き、扉を開いた。
「出て来なさい!」
エレンが大声で命じ、高志は身を屈めて檻から出た。その途端、エレンから目が眩む程の強烈な往復ビンタを受けた。
「劣等民族の分際で、人間みたいに二本足で立つんじゃないわよ!お前は常に四つん這いになってなさい!」
高志は頬の痛みと、あまりの屈辱に目の奥が熱くなり、涙がこみ上げてきた。しかし逆らったりすれば、立ち上がれなくなるまで叩きのめされるだろう。彼は下唇を噛み締め、身震いしながらも、その場に四つん這いになった。
四つん這いになった高志の頭上から、エレンの声が響いた。
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