真美様はなるみを後頭両手縛りにして、旧校舎の廊下を歩いていた。なるみの背中と両手首をつないでるロープを、真美様が掴んで、前へ押す。夏の陽射しが照り付ける女の子と男の子の肌は、露出度を除くすべてが対照的に違っていた。
なるみの肌には、紺色のロープがぎゅっと食い込んでる。そして、汗ばむ肌に目立つのは、うっすらと残るミミズ腫れ。抓った痕のような赤紫色の痣、殴った痕のような青紫色の痣。そして、引っ掻いたような痕。テカテカした汗が、なるみを「うっ・・・う、あっっ・・・」などと呻かせている。
なるみのパンツは、硬い革製の貞操帯。暑い夏、マスターベーションも許されない思春期の男の子を、体の狂おしい疼きが苛む。黒い貞操帯とおヘソの間には・・・「6−3」と読める黒い焦げ跡が見える。これは今、なるみの隣にいる女の子が捺した焼印だった。
なるみの左の二の腕には油性マジックで「真美様所有物」と書いてある。いつも、優しい女のセンセイが書いてくれるのだ(なるみは、その深い意味を知らない)。
それにひきかえ、真美様のお肌は美しい。ブラジリアン・カットのおパンツから伸びる脚線美と、少しだけくびれた締まりのいい細いウエスト。ジュニア・ブラの上からでもわかる、小さいけど上に尖った感じのバスト。お肌のテカりの原因は、汗なんかじゃない。日焼け止めローションを、トロトロになるまで塗ったせいだ。
美しい真美様が、ストック・ウィップの柄を短く畳んで右手に持っている。元は倉庫だった嗜虐スペースは、もうすぐそこ。でも真美様は待ちきれずに、ウィップでなるみの無防備な脇腹をバシッ!
「うっっ・・・いたいーーーーーーーーーいっ!!」
脚をビシッ! 「いたいっっっ、いっ、あーーー」 掴んだロープをグッと引っ張る。ボキキッ「ぁーーーうっ、ぅッ」
汗ばんだ肌を堅い編み上げ鞭で叩かれる痛みに気を取られ、なるみは大変なことをしてしまう。
なるみの裸足の足が、真美様のバレーシューズ型の上ぐつを踏んでしまったのだ。すかさず、真美様がなるみの足を踏み返す。そして、ちょっとだけ身を傾ける。
「ぎゃあああーーっ、いたいーーーーっ!!!」
真美様が足を離すまで5秒ていど、でもそこから先がなるみにとって生き地獄だった。
バシーーッ!! 「・・・・・・・・・っっあっ!!!!!」
ドッチンッ!! 「うっぎゃああああああ・・・・・・っ!!!!」
「真美、どうしたの。『きがえのぞき』の奴、叫んでるけど。」
「なんでもない。今日はみんなも叩いていいよ。」
「真美センパイ、ありがとうございます。わ、『きがえのぞき』、すっごい汗。」
ツンッと汗臭い、20年前の型の体操服を着た5年生の女の子が、なるみの肌を触る。
「あッッ、痛いっっ!、おッ、えっあっあッ。」
さわさわっと生傷の上を撫でてもらっただけでも、なるみはその瞬間、痛み以外の全部を忘れてしまう。
他の子が嬉しそうな顔でなるみを見つめ、薄茶色のスカートベルトを「α」の形に持って、バシッバシッ。彼女と目線が合ってしまったなるみは、脚が上下に激しく震える。男の子を好きなだけ叩きまわせる期待に女の子の心が躍ってるせいか、彼女が脱いだスカートは、児童イスの背もたれへ無造作に掛けられている。
季節外れに歯をガチガチと鳴らすなるみは、叫び過ぎて声が枯れてたこともあって「真美ちゃん助けてぇっ!」という叫びが、言葉にならなかった。これは幸か不幸かでいえば、もちろん前者だ。
なるみには(真美御嬢様よりキレイなわけでもないイモ女ども、いつか覚えていろ)という思いも、まだあった。でも、そんな思いは・・・天井から下がった吊革が見えてきて、そして駐輪用のワイヤーや棒枷を用意する音が旧校舎にひびき始めたとき、サッと消し飛んでしまった。
そればかりかなるみは、お腹も気持ち悪くなってきて、ヘドが胃の腑より上のところをさまよってるのがわかる。
駐輪用のワイヤーもここでは、牡ドレイを叩きやすくする道具、牡ドレイを座ったりできなくする道具でしかない。緊縛した牡ドレイの腕と、吊革をモノのようにつなぐのだ。
棒枷は、牡ドレイの脚を閉じれなくする道具だ。被使用者にとっては憎い貞操帯を、今日だけは少し頼もしく感じることができる。陰部打ちや、傘の柄を使ったあの「ガマカツ」から陰嚢の痛みを少しは減らしてくれる。
「『きがえのぞき』、棒口枷と猿轡だったらどっちがいい?」
真美様の声色は、なるみには懐かしさを感じるほど、ふつうだった。そのせいで、よけいに真美様のお姿とお声の違和感がなるみをクラクラさせた。
「真美の幼馴染」だったときには見れなかった、「異次元の表情」としか言えない真美様の顔つきや体の微妙な姿勢。
なるみは鞭の恐怖と緊縛の苦しみだけでなく、ふしぎなことだけど貞操帯のケースがパンパンになるほどエッチな気持ちがしてしまう。
そのせいか2秒ぐらい気が遠くなってしまい、真美様にすぐ返事ができなかった。